なつかしの香港映画ブログ

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なつかし香港映画:『レッド・ドラゴン 新・怒りの鉄拳』(1976年:ジャッキー・チェン、ノラ・ミャオ)

「なつかしの香港映画ブログ」中国人カンフー道場が日本人道場に抵抗するカンフー映画。ジャッキー版「精武館」。千葉真一みたいな悪役との戦い。ストーリー、注目のシーンを紹介。

1.ストーリー
日本統治下の台湾で日本人道場主が中国人道場「精武館」を始めとする全ての道場を傘下に入れようと企む。

2.キャスト
ジャッキー・チェン(コソ泥)
ノラ・ミャオ(精武館・道場主)
ハン・インチェ(精武館・師範)

3.注目のシーン
①続編?
悪役日本人がやりたい放題暴れ回るいわゆる「精武館もの」映画。ブルース・リー『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編とされることもありますが、話がつながらない別の作品です。「精武館もの作品」は他にもたくさんあります。ホー・チョンドーが主演した作品が『ドラゴン怒りの鉄拳』の正式な続編とされています(悲惨な内容)。他にも「ブルース・リーのバッタもん」として知られるドラゴン・リーやブルース・リ(「リー」じゃないよ)主演の「精武館もの作品」もあります。「精武館シリーズ」として日本版DVDがリリースされたらいいな(個人的に)。

②主役
ジャッキー・チェン演じる「コソ泥」ロンが主役(整形前の何とも地味な感じのジャッキー。「華」がなさすぎる)。当時の台湾では日本人が大きな顔。さすがに頭に来たロンが「精武館」に入門。あっという間に強くなっていく。そして最後は悪の日本人親子と対決。

③キャラ
あのノラ・ミャオさんが出演(そのため「『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編」と思われたりするのですが)。祖父を訪ねて来た「ミョウ」の役。急死した祖父に代わって「精武館」を再興する役どころ。師範役のハン・インチェは『ドラゴン危機一発』でおなじみ。他にも『少林寺木人拳』のデブくん(ジャン・ジン)、日本人に媚びを売るオッチャン、ロンの成長を陰ながら見守る「おばさん」ら。

④悪役
日本人が悪役。と言っても「日本人」を演じているのは中国人。日本政府の命令で台湾の全ての道場を日本の傘下に入れようとする岡村という男。千葉真一みたいな顔で、カンフーの腕前は一流。気が強い娘と一緒に中国人たちに圧力をかける。

⑤アクション
ロンが修行するシーン、戦うシーンがやはり見せ場。入門してすぐに強くなるロン(「ジャッキー映画あるある」。初心者がすぐに「達人レベル」に)。最後は岡村親子と対決。素手での戦いだけではなく、ロンが三節棍を使うシーンもあります。

4.感想
香港・台湾ではあるジャンルの映画がヒットすると似たような映画が量産されます(『霊幻道士』を元にした『幽幻道士』とか)。これは「精武館もの」。カンフー映画には悪役が必要。昔の事もあるため、「日本人」は悪役として都合がいい、という考えで製作されたのだと思われます。結局のところは「正義 vs. 悪」という図式が成り立てばいいので、「それっぽい悪役」であればOKといったところ。整形する前のジャッキーが主演。弱いクセにケンカを売ったりするコソ泥の役。顔立ちも役柄もイマイチ。ロンが強くなってからが盛り上がる映画。美人さんのノラ・ミャオ。悲しい役のため、表情は少し暗い(笑顔のシーンもあります)。悪役が多いハン・インチェは正義の側。「岡村の娘」役の女優はなかなかのカンフーの腕前。ラストが陰惨、笑いのシーンが少ない、ということで「ジャッキー作品」としては地味な映画。ジャッキー初期の作品ですが「弱い → 修行する → すぐに強くなる」のパターンや怒りの表情など、後の作品でもおなじみの「ジャッキーらしさ」が見られる隠れた名作です。

「Fortune Star Media」が提供する予告編(YouTube

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