なつかしの香港映画ブログ

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なつかし香港映画:ブルース・リーのすべて「『死亡的遊戯』とは?」(11)

「なつかしの香港映画ブログ」リーが格闘シーンだけを撮影して未完成に終わった『死亡的遊戯』について(ストーリー、出演者、エピソード)。

『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』(2000年、日本・香港映画)
再現映像とリーが撮影した格闘シーンで構成される映画。リーが「集大成」として製作しようとして未完成に終わった『死亡的遊戯』。『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』『Bruce Lee: A Warrior's Journey』でその格闘シーンの完全版を観ることができます。

『死亡的遊戯』
1972年秋からリーは『死亡遊戯』の撮影をスタート。そこへ『燃えよドラゴン』の企画が持ち上がり、『死亡遊戯』の製作は中断された(リーは寒いのが苦手だった、というのも『死亡遊戯』の撮影が中途半端になった理由の一つ)。撮影されたのは、格闘シーン、塔を守る格闘家たちによるデモンストレーション映像。

出演者1
ブルース・リー、ジェームズ・ティエン、チェン・ユアン(解元)がチームを組んで塔に上り、各階の強敵と戦う。各階の格闘家はダニー・イノサント、池漢載、カリーム・アブドゥル=ジャバー。チーム対抗戦のような形式ではありますが、チームは二人がかりで攻撃したりするのに対し、イノサントら「塔の番人」は一人で戦う(各階の格闘家が三人同時に相手をする「変則マッチ」形式)。一番強いのはブルース・リー。ティエンやユアンは引き立て役。リーはこの映画にサモ・ハンを呼ぶ予定だったという。何の役をやってもらうつもりだったのかは今となってはわかりません。ただ、リーは太ってる人が嫌いだったという。また、リーはティエンやユアンを出演させたくなかったという(しかし、レイモンド・チョウの薦めで出演が決まった)。ユアンは78年の『死亡遊戯』が完成する直前の1977年に脳腫瘍で急逝。リーと同じ原因と年齢(32歳)での死だった。

出演者2
ダニー・イノサントは棒術が得意のフィリピン人。リーが創始したジークンドー截拳道)を継承する者(スティーヴン・セガール『アウト・フォー・ジャスティス』でも棒術を披露)。池漢載(チー・ハンツァイ)はハプキドー(韓国式合気道)の達人。負ける役に難色を示したという。池は韓国大統領朴正煕のボディガードを務めたこともあるそうだ。カリーム・アブドゥル=ジャバーはNBAレイカーズ」の名選手で、リーのアメリカ時代の弟子。香港に休暇にきたところ、リーから出演依頼。撮影中、リーのハイキックが誤ってジャバーの顔面をカスり、ジャバーが激怒したとか。コメディ映画『フライングハイ』では旅客機の副パイロット役を演じるなどユーモラスなところがある人でもあります。なお、イノサントによるとジャバーとリーの対決シーンの撮影がまず行われ、次いでイノサントのファイト・シーンの撮影。ジャバーはイノサントと入れ違いで香港から帰国したという。

エピソード
ジョージ・レーゼンビー(『女王陛下の007』で二代目ジェームズ・ボンドを演じた)、ベティ・ティンペイ(リーと怪しい関係だった。『Mr.Boo!ギャンブル大将』ほか)もオリジナルの『死亡遊戯』に出演する予定だったとか。あのスティーブ・マックィーンアメリカ特別捜査官の役で出演する予定だったらしい。そうなってくるとますますリーが企画した本来の『死亡遊戯』のストーリーが気になるところ。

ストーリー
格闘シーンしかない『死亡遊戯』。どんなストーリーをリーは考えていたんでしょうね。イノサントによると、リー「知識を探求する人間物語、それが "死亡遊戯"」とのこと。塔に登る三人の男(リー、ティエン、ユアン)。彼らが目指したものは何だったのか? それは「知識」、というのがリーの説明。『燃えよドラゴン』撮影終了後に最終的な台本が完成したとされていますが、その台本は見つかっていません。ある本には「有名格闘家ハイ・ティエン(ブルース・リーの役名)の息子が謎の男にさらわれた。息子を救出するため、謎の男の指示で塔を守る強敵と戦うことを余儀なくされる」というのが本来の脚本と載っていました。しかしながら、リーのセリフ(リー「ゲームは終わった!」。外の人物「戦いはまだまだ続く」「お前は戦い続けるしかない」「死ぬまで戦うのだ」)や楽しみながら戦っている表情から想像すると、「誘拐劇」ではなさそう。楽しみながら戦う「異常なゲーム」。カネのために戦っているわけではなく、銃やナイフを使うわけでもない。最後に生き残った者が「最高の武芸者」としての栄誉を与えられ、強者と戦った経験を得る。たぶんそれが「死のゲーム」の目的なのではないかと私は思います。「格闘シーン」は全体で39分ほど。仮にこの作品が完成したとしてもリーのファンは喜ぶでしょうが、「戦いのシーンが長すぎる映画」として普通の映画ファンには評価されなかったかもしれません。

NG
格闘シーンに注目の『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』。「リーの強さ」を堪能できる映像。カッコよく戦うシーンがキレイに編集されています。格闘シーンの撮影ではNGが多く出るのが普通。リーがヌンチャクを失敗するシーンなど、まだまだファンには公開されていない映像がたくさんあるような気がします。できれば「リーが映っている映像」は全て観てみたいところです。

(予告編:YouTube)『死亡遊戯

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