なつかし香港映画：『燃えよデブゴン出世拳』（1978年：サモ・ハン・キンポー）

「なつかしの香港映画ブログ」中国明朝の創始者、朱元璋の皇帝になる前の戦いを描いたコミカル・カンフー映画。マヌケな占い師、悪役カーター・ワンに注目です。

１．ストーリー
モンゴルの元が力を失い、新たに皇帝になろうとする者が現れる・・・。

２．キャスト
サモ・ハン・キンポー（太っちょ）
カーター・ワン（野心家）
ディーン・セキ（占い師）
ユエ・ファ（将軍）
ウー・テイシャン（和尚）

３．注目のシーン
①主役
元が力を失い、新たな指導者が必要な時代。「デブゴン」こと朱元璋（サモ・ハン・キンポー）。貧しい家庭の出だが、明るい。しかし、調子に乗りすぎて人に嫌われることも。頭頂部が皮膚病で荒れているが、石頭であるため立派な武器となる。

②悪役
ある地方の実力者チェン（カーター・ワン）。皇帝になる野望を持つが、予期せぬ出来事。ウェン兄弟と手合わせしたが、敗れた兄弟の一人が復讐でチェンの父を殺害。うさんくさい占い師トンマオ（ディーン・セキ）の勧めで「聖なる地」に埋葬することに。そうすればチェンは皇帝になれるという。しかし、ベストポジションにデブゴンの父の墓が。そのためチェンはデブゴンを始末しようと躍起になる。

③キャラ
チェンは冗談が通じない男。ウェン兄弟は自信タップリだが、敗れたうえに逆ギレの報復（この映画で一番悪い奴らかもしれない）。占い師トンマオはおべんちゃらなドジ男。日本語吹き替え音声は妙なヒョロヒョロ声で、イチイチしょーもないことを言う。元を倒そうとするカク将軍（ユエ・ファ）は人格者であるが、チェンのワナに苦戦。カク将軍に合流しようとするデブゴンを三人の仲間（旧友、幼なじみの女メイ（ホワン・リン）、カンフー自慢の女ビレイ（オーヤン・リンルン））がサポート。デブゴンの素質を見出したローウン和尚（ウー・テイシャン）は刺客に襲われてピンチ。デブゴンの修行を妨害する坊主二人組は嫌がらせをして逆にやられるコミカルな役どころ。

４．感想
『デブゴンの太閤記』というタイトルでVHSリリースされたことがある珍作（DVDにはなっていないようです）。実在の人物、朱元璋を描いたもの。「邪魔なところに墓があるから」という理由でデブゴンを追い回すチェン。マヌケな占い師トンマオを信じたばっかりに・・・。何となくチェンが気の毒に思えてくる内容。「実力者」として頑張れば良い人生になったかもしれない。しかし、このディーン・セキ演じるトンマオ。名前からして信用できない（「トンマオ」て）。何ともエエ加減で、妙な奴。戦いになると腰が抜けたり、ガケからズッコケてヘロヘロになったり。「何やコイツ」って感じのキャラ。デブゴンは頭は汚いが、勇敢で強い。幼なじみのメイに愛されて満足そう。男の野望、意外な裏切り、といったシリアスなストーリーにデブゴン＆トンマオが提供する笑いがプラスされた映画。水島裕の日本語吹替版をデブゴン・ファンのためにリリースして欲しいところ。見所は、チェンをイラつかせるデブゴン、「チェン vs. ウェン兄弟」、デブゴンの寺での修行、仏像を盗むマヌケな四人組（『ドラゴンへの道』などでおなじみウェイ・ピンアオが登場）、寺での戦い「デブゴン vs. チェンの手下」、メイ救出珍作戦、意外な人間関係、「デブゴン vs. チェン」の決着戦、牛を操るデブゴン、意外な裏切り者。

（YouTube）