「なつかしの香港映画ブログ」リーのカンフー第二弾。極悪な日本人がリーに制裁されるアクション映画(1972年公開)。YouTubeにアップされた予告編を解説します。
(YouTube)予告編
予告編の内容(画像は全て予告編から)
(Fist of Fury)
1.第二弾
「主役」を演じるためアメリカから帰ってきたリー。『ドラゴン危機一発』に次ぐ第二弾『ドラゴン怒りの鉄拳』。日本人の悪役が引くほど残虐な内容。「師匠の死」の知らせで上海の精武館に帰ってきたチェン(ブルース・リー)。師匠の突然死に取り乱す(実に迫力のあるリーの熱演。子役時代にメロドラマ的な映画にも出演するなどブルース・リーは単なるカンフースターではない)。
2.日本人による侮辱
師匠の葬儀の中、精武館を侮辱しにやってきた日本人(ピーター・チャン。後、ジャッキー・チェン映画で活躍)と通訳のウー(ウェイ・ピンアオ)。ウーがチェンの顔を叩いて挑発(あのリーが顔をペチペチされるシーンは今となっては実に貴重で珍しい)。
3.精武館の人たち
日本人の侮辱に耐える師範(ティエン・フォン)、弟子(ジェームス・ティエン、トニー・リュウ、リー・クンら)。警察署長(ロー・ウェイ)は日本人に非があることがわかっていても日本人に対して何もできない。
4.婚約者
師匠の娘ユアン(ノラ・ミャオ)と愛を確認するチェン。しかし、チェンは日本人に追われている。ユアンと一緒になる希望は叶いそうにない。
5.悪役①
精武館内に敵が。厨房を任されているティエン(ウォン・チュンスン)とフェン(ハン・インチェ)。二人は師匠の死に大いに関係がある。
6.悪役②
精武館にケンカを売るだけあって鈴木の日本人道場には腕の立つ連中が。メガネの吉田(フォン・イー)は格闘はそこそこだが、負けそうになると日本刀を持ち出す凶悪さがある。逃亡中のロシアン・マフィアで鈴木にかくまわれているペトロフ(ボブ・ベイカー)は鋼鉄の棒を曲げるなどかなりの腕力。柔道技も使う。
7.悪役③
日本人道場を監督する鈴木(橋本力)。なぜ執拗に精武館を狙うのかは本編では明らかにされないが、異常なしつこさで精武館を閉館に追い込もうとする(中国人がカンフーで強くなって団結するのを阻止するのが狙い、らしい)。武器は日本刀&目力。鈴木の用心棒(勝村淳)は見た目は強そうだが、チェンの攻撃にアッサリ沈没。
8.アクション①
チェンが日本人道場を攻撃するシーンが見せ場の映画。大勢を相手に後ろ回し蹴り、ヌンチャクで倒しまくる。ヌンチャクで頭を割られた奴が倒れるシーンはなかなかショッキングな凄惨さ。
9.アクション②
チェンと鈴木の決着戦。この映画を個性的にしているのは「日本風の演出」。和室で行われる最後の戦いはかなりの緊迫感。「カンフー映画のラストファイト」と言えば「だだっ広い野原」などの屋外で行われることが多いが、屋内での戦いは動きが制限されるため「ピン」と張りつめた空気になりがち。
10.特殊効果
リーの手の動きをスローで見せる演出。これもこの映画を個性的にしているシーンの一つ。市川雷蔵が『眠狂四郎』シリーズで見せる「円月殺法」のような雰囲気。
(コメント)
格闘シーンが盛りだくさんの予告編。個人的には「後ろ回し蹴り」に注目。回転して正確に相手を蹴る、なんていうのは余程トレーニングしないと無理でしょうね。リーの強さを見せる映画、ということで悪役が充実。鈴木やペトロフといったメインキャラはもちろんのこと、後に香港映画を盛り上げるジャッキー・チェンやラム・チェンインも日本人役で出ています。エピソードも豊富な映画。勝新太郎の大ファンであるブルース・リーが勝に出演を依頼。しかし、それは実現せず。代わりに「勝プロ」の橋本力と勝村淳が出演。結果的に勝よりも彼らで良かったという気がします(「リーに倒される役どころ」なので)。監督はロー・ウェイ。警察署長役で出演も。しかし、リーとローの仲は最悪。ローをぶん殴ったことがあったという。そのためか二人で組んだ仕事は『ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』の二本のみに。陰惨な内容の『ドラゴン怒りの鉄拳』ですが、リーが電話の修理人に変装するといったユーモラスなシーンも。本編には「細かいところまで見てみたい」と思うような個性的なシーンが満載です。
-------------
Amazonショッピングサイトへのリンクです。