「なつかしの香港映画ブログ」ジャッキー演じるカンフー道場の青年が道場を追放された兄弟子を連れ戻そうとする映画(1980年公開)。YouTubeにアップされた予告編を解説します。
(YouTube)予告編
予告編の内容(画像は全て予告編から)
(The Young Master)
1.移籍
ジャッキーが「ゴールデン・ハーベスト社」に移籍(しかし、このことでロー・ウェイとトラブル)。移籍第一弾として制作された『ヤング・マスター/師弟出馬』。最初は暗い雰囲気でスタート。次第に明るい作風に。
2.道場
あるカンフー道場。ライバル道場と獅子舞対決(中国古来の「獅子舞」を演出するところにジャッキーの郷土愛が感じられる)。
3.裏切り者
かつて「みなしご」だったタイガー(ウェイ・ペイ)とドラゴン(ジャッキー・チェン)らを引き取って育ててきた道場の師範(ティエン・フォン)。厳しい人だが、彼らを学校にも通わせる大変な人格者。ところがタイガーが道場を裏切る。獅子舞対決に敗れたうえにタイガーに裏切られ、師範は怒りからタイガーを道場から追放する。
4.追跡
タイガーが道場を裏切ったのは「師範の厳しさ」。最早、小さい子供ではないタイガーは師範の命令に束縛されるのに耐えられない。ドラゴンもまた同じ。反省した師範はドラゴンにタイガーを道場に連れ戻すように指示する。
5.セコい連中
タイガーをそそのかしたライバル道場の太っちょ(ファン・ムイサン)。「お前は用済み」とばかりに頼ってきたタイガーを門前払い。
6.扇子
師範から渡された大きな扇子を持ち歩くドラゴン。そのせいでドラゴンはタイガーと間違えられて官憲に追われるハメに。
7.ベンチ男
ドラゴンの行く手を阻む若い男(ユン・ピョウ)。木製ベンチを使ってドラゴンを捕らえようとする(ジャッキーはこの後、アメリカで『バトルクリーク・ブロー』を撮影するが、その作品でもジャッキーがベンチを使うシーンがある)。
8.警察署長
町でのんびりくつろぐオッチャン(シー・キエン:『燃えよドラゴン』のミスター・ハン)。彼は実は警察署長。タイガーが二人組(リー・ホイサン、フォン・ハックオン)と組んで罪人のキム(ウォン・インシック)を脱走させたことから署長はタイガーを追っている。しかし、タイガーの顔を知らない署長。「大きな扇子を持つ男」という情報しかないため、扇子を持つドラゴンを「お尋ね者」と勘違い。
9.ヒロイン
うっかり油断して署長に捕まってしまったドラゴン。「底なし沼」に転落。ある女性(リリー・リー)の家の風呂場を借りて、のんびりくつろぐが・・・。
10.手下
タイガーが組んだ二人組はキムの手下。その一人を演じるリー・ホイサンはヘンなモヒカン頭。この人はいつも妙なキャラを演じることが多い(マヌケな姿だったり、変顔をして絶命する役どころだったり)。
11.珍シーン
妙な変装をして二人組と戦うドラゴン。敵を油断させるためだと思うが、調子に乗りすぎて急所を痛打。実に恥ずかしいシーンだが、「ウケるためなら何でもやる」のがジャッキーの偉いところ。
12.キック
悪党のキム。最後は手下を見限って、これまで悪事でためた黄金を独り占めしようとする。「そうはさせじ」とドラゴンはキムを捕らえて警察に引き渡そうとする。壮絶なキックを食らうドラゴン。戦いの結末は?
(コメント)
なかなかややこしい映画界。特に香港・台湾ではヤバイ連中が映画製作を公然と行い、商売している(昔のこと。今は知らない)。そんな状況で移籍したジャッキー。そのことでジミー・ウォングに借りを作ってしまった。それはともかく、『ヤング・マスター』はジャッキーのアイデアが詰め込まれた意欲作。最初は「悲しい過去」「裏切り」といったシーンでメロドラマのような雰囲気。そして明るい内容に。これは古くさい悲劇を作りたがるロー・ウェイへの訣別を意味していると思われます。また、ブルース・リー映画でおなじみのティエン・フォン、ウォン・インシック、シー・キエンが出演しているのは「ジャッキーはブルース・リーの後継者である」ということを宣言する狙いも。大量のフィルムを使って制作。未公開シーンもかなりあるとか(観たい)。キャラ(強いウォン・インシック、イスを使うユン・ピョウ、コミカルな表情を見せるシー・キエン、紅一点のリリー・リー)、コミカルアクション、最後の壮絶な決闘に注目。後に『プロジェクトA』といった大作を制作するジャッキー。彼が「大物」になっていくのはこの作品から。『ヤング・マスター』はその「出発点」となった重要な作品です。
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